STUDIO TORIUMI / OBSERVATORY
人類が終わる時期は、おおむね確定しています。物理で決まっているので、議論の余地がありません。問題はそこではなく、それを回避するための計画が、ほとんど存在していないことです。何が確定していて、何が動いていて、何が止まったのか。数字と出典で並べます。
どちらも「起きるかもしれない」ではなく、「いつ起きるか」の話です。
太陽はゆっくり明るくなっています。明るくなると岩石の風化が進み、大気の二酸化炭素が減ります。減りすぎると植物が光合成できなくなり、酸素の供給が止まります。
そのあとの地球は、メタンが多く、二酸化炭素が少なく、オゾン層が無い世界になります。生き残るのは酸素を使わない生き物だけです。
この見積もりでは、地球が酸素のある星でいられる期間は、地球の一生のうち2〜3割にすぎません。すでに後半に入っています。
尾崎和海・Christopher Reinhard「The future lifespan of Earth's oxygenated atmosphere」Nature Geoscience(2021)
太陽は膨張して木星軌道の近くまで達し、その後で地球ほどの大きさまで縮んで白色矮星になります。内側の惑星は失われます。
これは計算だけの話ではありません。2021年、ケック望遠鏡が「白色矮星のまわりを、木星軌道の距離で木星に似た惑星が回っている」星系を捉えました。内側の惑星は消えていました。未来の太陽系を、実際に見たことになります。
タスマニア大学ほか、Nature(2021年10月)/W.M.ケック天文台
左端の細い線がホモ・サピエンスが存在してきた約30万年です。全体の 0.028%。締め切りまでの長さは、人類の歴史のおよそ3,600倍あります。
「人類滅亡」の話では、確定した物理と、確率の話がよく混ざります。分けたほうが、どちらも正しく怖がれます。
動いているものと、止まっているものを、同じ表に並べます。
2022年9月、NASAの探査機が小惑星の衛星に意図的に衝突し、その軌道を実際に変えました。人類が天体の動きを変えた、最初の例です。
2024年10月にESAのHeraが打ち上がり、2026年に現地へ到着します。衝突後を詳しく測り、この方法を「一度うまくいった実験」から「繰り返し使える技術」にするのが目的です。
ここだけは、本当に成果が出ています。ただし守れるのは小惑星からだけです。
光の15〜20%の速さでアルファ・ケンタウリへ超小型探査機を送る、という計画でした。太陽系の外へ出る道筋として、いちばん有名だったものです。
2025年9月、無期限の停止が報じられました。予定していた1億ドルのうち、使われたのは約450万ドルでした。第1段階の成果として論文は残っています。
「太陽系の外へ」を掲げた旗艦計画は、いま動いていません。
実際に前進しています。ただし火星も月も、同じ太陽を回っています。太陽が膨張すれば、まとめて失われます。
移住が効くのは、地球規模の災害・戦争・小惑星に対してです。締め切りそのものへの答えではありません。そこを混同した記事が多いので、分けて考えてください。
太陽の死に取り組んでいる計画は、地球上に一つもありません。
予算がつかないのは、無関心だからではありません。10億年が、人間の意思決定の単位から遠すぎるからです。選挙は4年、企業の計画は5年、いちばん長い国家事業でも数十年。10億年という数字を扱える仕組みを、人類はまだ持っていません。
本当の問題は太陽ではなく、私たちがその長さを扱えないことのほうです。そしてこちらは、技術ではなく制度の問題なので、いまから手をつけられます。
誇張せずに書ける範囲で。
最終取得:2026-08-30
取りに行っている先。NASA、NASA Science、ESAの宇宙安全・宇宙科学の公式RSSです。 小惑星・惑星防衛・恒星間・系外惑星に関わる語で点をつけて絞っています。 自動なので、関係の薄いものが混ざることがあります。
個人の発信は移り変わるので、組織の公式なものだけを置きます。ここから辿るのが結局いちばん確実です。
最終確認:2026年08月31日。年数は研究によって幅があります。ここに書いたのは、出典に示された値そのままです。 「〜と言われている」で済ませず、必ず一次の論文まで辿ってください。この手の話はいちばん盛られやすいところです。